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Project Story

プロジェクトストーリー

ツルヤ初の、県外進出プロジェクト。
前橋南店がオープンするまでの道のりと、
これからの展望とは。

豊かな食生活を創造する
販売部マネージャー

PROFILE

岩崎 直之/販売部マネージャー

2001年入社後、軽井沢店鮮魚部門配属。鮮魚や青果の売場ノウハウを学んだ後、同店の次長、副店長、店長を経て、2017年商品部鮮魚部門バイヤーへ。2019年11月、県外初出店となる前橋南店店長に任命。翌年には同店を後任へ引継ぎ、みどり店店長として3号店以降の群馬県出店をサポートした。2023年9月から最年少取締役として販売部の取りまとめを担っている。

2020年11月、明治期からの長い社歴の中で、初めて長野県外にツルヤの店舗が誕生しました。出店先は群馬県の県庁所在地・前橋市。
競合SMも多いこの地になぜ、どのようにして新店舗が立ち上げられたのか。オープン時、新店舗の店長としてモノづくり・人づくりに奔走した岩崎直之マネージャーに、当時を振り返っていただきました。

STORY / 01

いっそうの高みを目指し、
競合に学ぶ

県外出店が決まった2019年当時、ツルヤはすでに東信エリアから長野県全域へ販売網を広げ、店舗数は34店舗と、順調に成長を続けている時期でした。スーパーマーケットの中では比較的知られた、お客様にも支持いただける規模だという自負はその頃、社内にも根付いていたのではないでしょうか。

一方で掛川社長から伝えられたのは「そこで満足してしまうと成長が止まってしまう」という危惧です。“井の中の蛙”にならないため、むしろ厳しい環境の中で、企業としても人材育成の視点からも次のレベルへステップアップを図りたい──その思いが、創業以来初めてとなる県外出店につながりました。

ツルヤ プロジェクトストーリー

群馬県は長野県に隣接しており、出店先の前橋市には高速道路を使えば1時間余りで到着します。本部のある小諸市からも比較的アクセスしやすい立地です。長野と同様に海のない土地柄で、これまでの物流ノウハウを生かしやすいことも、出店場所としての決め手になりました。

出店予定地の半径3km圏内にはスーパーマーケット業界の名だたる有名企業がそろって地盤を築いており、そこへ乗り込むことは業界内外の注目を集めたものです。ですが私たちが目指したのは、当社より規模の大きな競合の中へ、あえて身を置くこと。そもそも競合企業とは敵ではなく、競い合うことで共に成長する存在です。周辺の地域ではどんな食文化が根付いているのか、店づくりにおいて自分たちに足りないものは何なのか。大手他社の胸を借りて、自社の課題を学ぶには非常に良い環境だったと思います。

前橋南店

STORY / 02

新天地に受け入れられる商品構成とは

前橋南店は2020年11月、北関東自動車道「前橋南IC」やJR前橋駅にもほど近い、「前橋南ショッピングパーク」の中核店舗としてオープンしました。ツルヤ単体での売場面積は約1060坪。長野県内の標準店と比べて1.5倍の広さです。

一から店づくりを任されるに当たり、徹底したのは「鮮度・品質にこだわる」というツルヤの原理原則を守ることでした。ツルヤの第一の強みは、生鮮食品にあります。私自身、鮮魚部門のバイヤーとして全国を回り、生産者の方の思いに直接触れてきた経験があったため、新店舗でも「最高レベルの鮮度・おいしさ・旬」を追求する自社の姿勢を貫きたいと考えてきました。

商品の質の高さや生産者の方のこだわりを、新店舗の広い売場でどう表現するか。加えて、価格と品質のバランスが取れた新しいお買い物体験を、新店舗のお客様へどう届けていくか。それを具体的な形にするため、開店前の半年をかけて行ったのが、地域住民の皆様にご協力いただいたモニター調査と競合店舗の売場調査です。

SMとして新しい地域でビジネスを始めるには、その土地の食文化を知ることが大切です。他社の売場で多かったのは、おはぎなどの和菓子や店内切り立てのローストビーフなど。下仁田ネギや大和芋など地元の特産品も、通年で購入されているようでした。逆に長野県内の店舗に当たり前に並ぶ野沢菜やおやきはほとんど無く、各地域の特徴が把握できます。

ツルヤ プロジェクトストーリー

地元の方へのアンケートでは、月ごとの食生活やクリスマス・お盆・年末といったイベント時の食事を調査。季節によってどんな食材が支持されているかが可視化され、各部門の商品構成や売場の拡大・縮小を考える上で非常に役立ちました。
中にはおはぎのように、群馬から長野へ、新たな定番として取り入れられた商品も。まさに競合から学び、自社の改善につながった例です。

商品構成は既存店舗と同じように、2:6:2の原則を守りました。プライベートブランド(PB)に強みがあるとされる当社ですが、基本的にPBは売場の2割に留め、6割を大手メーカー様のナショナルブランド(NB)、残り2割をローカルといって地元のもので構成しています。初めての土地で、ツルヤに慣れていないお客様にいきなり「PBを使ってください」というのは押しつけになってしまう。全国どこでも安心して同じ品質のものを買えるNBや、地元に根付いたローカル商品を揃えた上で、「こういう良いものもありますよ」とPBを提案する形は、2号店以降も変わりません。

STORY / 03

県境を超えたオープニングスタッフ研修

商品づくりと並んで、出店時の大きな課題となったのは「人づくり」でした。 ツルヤではパートさんやアルバイトさんなど社員以外のスタッフのことを「パートナー」、つまり仲間と呼んでいます。店舗人材の7~8割を担うパートナーさんは、地元から通える人であることが原則です。前橋市内で採用したその方たちを、どこで教育し、作業ノウハウを知っていただくか。
前もって契約だけを交わして、全員にオープン日から来ていただくことも形式上はできます。ですが、お魚を切る、コロッケを揚げる、お肉をさばくといった1つひとつの工程をオープニングセールと平行してスムーズに行うためには、ツルヤのやり方を学んだ人を一人でも多く育てることが不可欠でした。

そこで当社が行ったのが、前橋南店のオープン予定地に独自のバス発着所を作り、マイクロバスを運行すること。前橋から、最も近い軽井沢店まで毎日1時間半かけて勤務予定の皆様に来ていただき、日帰りで戻るということを半年間続けたのです。専任の運転手を雇い、移動時間分ももちろん賃金として換算。わざわざ県境を越えて研修に来ていただくのは大変だったと思うのですが、参加された方から「すごく従業員を大切にする会社なんだと分かって、却って安心しました」と言っていただけた時はうれしかったですね。

運行当初、小型のマイクロバス1台だった「ツルヤバス」は徐々に台数を増やし、多い時には5台のバスを走らせるまでに。最終的には、軽井沢店と御代田店の2店舗体制で60名以上のパートナーさんの対応に当たりました。
オープン時、前橋南店に集まってくれたパートナーさんは約140名にのぼります。半数はご家庭の都合などで事前研修に参加できなかった方たちですが、残り半数の方が既存店舗で経験を積んでいたおかげで、社内ルールも商品の扱い方もしっかり伝えることができたように思います。研修に参加できた方もそうでない方も、あの時ツルヤの考え方を真摯に学んでくださった多くの人がいたから前橋南店をオープンできたと、元店長としても本当に感謝に堪えません。

ツルヤ プロジェクトストーリー3

STORY / 04

これからのツルヤが目指すもの

2022年6月には群馬県内2店舗目となる、みどり店をオープン。次いで吉岡店、ローズタウン店と着実に新店舗を増やし、2024年秋には複合商業施設のかんらショッピングパークが開業予定です。
1年に1~2店舗ペースという順調なすべり出しを受けて、群馬県内での急激な事業拡大をイメージされることもありますが、私たちが目指すのは、あくまで企業理念に沿った堅実経営。急な成長を望むのではなく、自分たちの力を確かめながら、一歩一歩着実に育っていくことを大切にしています。

個人的な意見ですが、ツルヤというのは「何事もあきらめない企業」なのだと思います。良い商品だから値段が高くても当たり前、価格が安いから多少の質の悪さは仕方がない─…といった考え方は、当社にないんですよね。
確かな品質も手に取りやすい価格もあきらめないし、サービスも妥協しない。スーパーマーケットで起こるあらゆることは、高いレベルで共存できると本気で考えているのがツルヤであり、実行に移しているのが各店舗の従業員です。

私自身は前橋南店とみどり店で店長を勤めた後、現在は販売部マネージャーとして各店長のフォローや立ち上げサポートに当たっています。
先に述べたツルヤのスタイルを体現してくれる人を育てることも、今の私の役目です。どんなに良い商品が用意され、広い建屋があったとしても、従業員の雰囲気が悪ければすぐにお客様に伝わってしまうもの。前橋南店のオープン時、多くのパートナーさんに長野まで来ていただいて技術を伝えたように、今後はさらに、ツルヤで働いていることに誇りと自信を持てるような環境づくりに力を入れていきたいですね。それが結果として、ツルヤの目指す「最高レベルの商品とサービス」を実現する一番の近道になるのだと思っています。

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